自然とヒトとの大いなる営みが感じられる、生命感のあるお酒!
創業は明治4年。代を重ね酒造りの歴史は130有余年。
酒名『天穏』は日蓮宗の経文から抜粋して命名した由緒あるものです。
“味と香りに生きる手造りの酒”をモットーに、原料の酒米は良質の五百万石、神の舞、佐香錦など
島根県産米並びに兵庫県山田錦米を使用しています。全国新酒鑑評会で過去9回金賞受賞蔵。
当地出雲は出雲風土記にもありますように、酒造りの発祥の地として松尾神社もあり、
出雲を代表する銘酒として多くの人に親しまれています。
無窮天穏シリーズ
天が穏やかであれば窮する(困る)ことは無いという言葉で、板倉酒造の銘柄「天穏」の由来となった言葉です。
飲んだ人の心が穏やかになるような酒質を目指し、出雲杜氏の伝統技法で米の旨味を引き出し、
さらに洗練させることにより、とってもやさしい「穏やかな」酒質に仕上がっています。
穏やかというのは、澄んでいて、飲みやすく、やさしく、旨味もあり、だらけず、さわやかでいて、…
と様々な要素が折り重なって感じられる、そんな印象です。
当店でも大反響があった無窮天穏シリーズ。
この「やまざくら」は、同シリーズの「齋香(さくら)」と同じく無窮天穏シリーズの最高峰となる純米大吟醸酒です。
ただし、「齋香(さくら)」はきもと仕込みであるのに対し、こちらの「やまざくら」は山廃仕込みのお酒となります。
きもとと山廃、製法(醪をすり潰すか否か)による違いというだけでなく、蔵元曰く、それぞれの“精神性”も異なっているとのこと。
すなわち、きもとは「清らかさを追求した御神酒、ハレ(聖)のお酒」であるに対して、山廃は「土着信仰的な生命感のあるお酒、ケ(俗)の酒」
という観点で酒造りを行っています。
生命信仰溢れるお酒とは、麹菌、酵母、乳酸菌ら微生物の営み(繁殖や歴史の痕跡)があるお酒。
そのような考えから、今回の山廃仕込みでは「野生酵母」の取り込みに着目して行ってきました。
当然ながら、この野生酵母は大多数になってしまうと酒質自体が変化しすぎてしまいますが、この野生酵母の営みこそが、
酒造りの危うさや、はかない生命信仰を表現しているようで、今回とても良く表現されています。
山廃仕込み特有の、それこそサワークリームのような広がりを持った独特の酸味、
「齋蔵」と同様にサラサラと、緩やかに口内に広がります。
ただし、口内で味わい要素(甘・酸・旨・渋・苦)があらゆる方向に弾けだします!
時には互いにぶつかり合い、また時には共闘しながら…。まるで我々ヒトの普段の営みそのもののように!
それでいてアフターには実に心地よい旨味が残ります。 着目していた野生酵母の営みが、良いアクセントに働いていますね。
自然とヒトとの大いなる営みが感じられる、それが実に良く表現されたお酒です。

原料米 | 奥出雲産 佐香錦 |
精米歩合 | 50% |
日本酒度 | +3 |
酸度 | 1.5 |
度数 | 18.5度 |
蔵元 | 板倉酒造 (島根県) |